どもどもTにぃです
私は繊維を知ることで生活の質が変わると考え、繊維製品品質管理士として繊維に関する情報を一般の方向けに発信しています
繊維業界ではTES(テス)と呼ばれ、ある程度の知名度がある繊維製品品質管理士ですが、このブログをご覧の方でご存知無い方もいらっしゃると思います
また繊維業界、アパレル業界で働いており、繊維製品品質管理士取得を目指している中でこのブログを知った方もいらっしゃるかもしれませんね
繊維製品品質管理士は損害につながるような繊維製品が消費者の手に渡ってしまわないよう、製造方法や販売方法を正しい方向に導くプロフェッショナルのことです
このように聞くと品質管理職、品質保証職の方のみが必要な資格なのかと思われがちですが、実はそうではありません
・お客さまに対する正しい商品説明が求められる営業職の方
・新商品に対して材料の特徴を理解し最適な仕様を考える必要がある企画職、開発職の方
・材料を正しく扱い、最適な製造方法でしっかりとしたモノづくりする必要がある
製造職、技術職の方
・材料や製品仕様に応じて適切な製造工程を考える必要がある生産管理の方
このようにして繊維製品品質管理士は繊維製品に関わる仕事をしている方であれば誰もが取得するべき資格なのです
そして誰もがご自身の仕事や普段の生活に役立てることができる資格なんです
というわけで今回は繊維製品品質管理士についてお話していきます
以後は繊維製品品質管理士をTESと記載しますね
ぜひ最後までご覧ください
繊維製品品質管理士(TES)とは
繊維製品品質管理士(Textiles Evaluation Specialist=TES)は、昭和56年度に通商産業省の告示(平成9年12月18日廃止)に基づいて生まれたもので、消費者に供給される繊維製品の品質・性能の向上を図ったり、繊維製品の品質について消費者からクレームが出ないように、それらの製品の製造や販売を行う企業のなかで活躍するスペシャリストです。その狙いは企業活動の合理化、消費者利益の保護、企業と消費者の信頼関係の改善にあります。
出典:一般社団法人日本衣料管理協会HP
TESは一般社団法人日本衣料管理協会が主催、認定している繊維製品に関する資格です
TESとして活躍するには繊維製品に関する幅広い知識が必要とされます
製品に対しての問題を事前に防ぐためにも、また問題が発生した場合に解決へと導くためにも知識は不可欠です
なのでTESの資格を持ち、TESとして活躍しているということは、繊維製品に関する知識を有している人ということになります
(もちろん全てを完全に網羅しているわけではありませんからねw)
TES取得の条件としては毎年1回開催される試験に合格する必要があります
2020年度は全国で1829人が受験されており、そのうち合格者は362人でした
例年合格率は20%程度であり、2020年度も例年通りの合格率でした
合格率2割と聞くと結構難しそうな試験だと感じると思います
実際その通りで少し勉強すれば合格できるような簡単な試験ではありません
逆にいえばそれくらい努力し、知識を得ているということになるのでTESを持っていると社内で一目置かれる存在になれるかもしれませんね
ただし知識があってTESの資格があるだけでは意味がありません
その知識を活かして製品の品質や性能の向上、問題が起こらないよう未然に防ぐ、問題が起こった場合には適切な対処という動きをしていかなければなりません
それは大変なことではありますが、合わせて非常にやりがいのあることでもあります
TES取得時に勉強したことは基礎的な知識として必要になってきます
しかしその後の実際の仕事で学ぶ部分のほうがかなり多いと思います
資格を取得することがゴールではなく、そこからがスタートというつもりで取り組んでいく必要があると私は思います
試験内容について
TES取得には試験に合格する必要があります
受験資格は特に無く、新入社員の方や繊維業界の方でなくても受験可能となっています
試験は全5科目で以下の構成となっています
1,2,3に関してはマークシートによる選択式での回答、4,5に関しては記述式での回答となっています
それぞれ簡単に説明していきますね
1.繊維に関する一般知識
繊維の種類と性質、糸や布地の種類・製造・性質、染色・加工の分野から出題されます
例を挙げると綿はどのような特徴があるか、織物とは、編物とは、染料や染め方の特徴などですね
繊維に関する基礎知識について問われます
2.家庭用維製品の製造と品質に関する知識
衣料品を作る上での企画設計、縫製や仕上げ工程などの製造、性能を確認する試験方法、品質管理などから出題されます
衣類を作る際に注意すべき点や企画設計の方法、裁断・縫製・仕上げ加工の方法、製品に求められる品質やその試験方法、品質管理の方法など
実際のモノづくりと品質の部分について問われます
3.家庭用繊維製品の流通・消費と消費者問題に関する知識
消費者問題と消費者政策、衣料の流通と消費、環境の分野から出題されます
消費者保護や消費者政策、繊維産業における生産と流通、消費者苦情や品質表示方法、繊維産業における環境問題などですね
商品の流れと消費者対応、環境問題について問われます
4.事例
繊維製品による消費者苦情の例を挙げてその考えられる原因と対策について記述
例えば、衣類を洗濯したら色落ちしたのでその考えられる原因と原因特定のための確認試験方法、再発防止対策方法について記述するという形ですね
実際のクレーム対処を想定して1,2,3での知識をフル活用していく必要があります
5.論文
与えられた題目に対して自分の考えを記述するもの
TESとして正しい考え方ができているかを確認するものだと思います
2021年度の論文題目は
「繊維製品の品質については、消費者からみる商品の品質と、生産者からみる製品の品質には違いがある。消費者は商品の品質として、安全性、使いやすさ、ファッション性、機能性、適正価格などを求める。一方、生産者は、消費者の求める品質以外にも、品質の安定化、コスト低減、不良率の減少、環境負荷の軽減、コンプライアンスなどを考慮して品質を確保する。このような状況下で、繊維製品品質管理士には、消費者と生産者の二つの立場からの品質を両立させた繊維製品を消費者に提供することが求められる。そこで、繊維製品品質管理士を目指すあなたは、消費者と生産者の立場からの品質の両立を踏まえ、①製品の生産をどのように考えて進めるのか、②消費者にどのように正しい情報を提供するのか、③消費者から得られた情報をどのように製品品質に活かすのかについて、スポーツ衣料、カジュアル衣料、フォーマル衣料、子供服、作業服、寝装品などの繊維製品から具体例を一つ想定して論じなさい。」
でした
なかなか難しそうな題目のように感じますね・・・
以上、上記5科目を全て合格点が60点となっています
合計点300点以上ではなく全ての科目で60点以上を取る必要があります
なので5科目中4科目で60点以上を取ったとしても残り1科目で60点未満であればTES取得とはなりません
ただし取り貯めの制度があり、一度合格した科目は3年間有効とされます
なので数年かけて計画的に取っていく方法もありますね
ちなみに上記科目の中で私が一番苦労した科目は事例でした・・・
・どのような問題が起こったか
・その原因は何なのか
・それを確認する方法は何なのか
・再発防止するためには何をしなければならないか
そもそもこれらを覚えるだけでも種類が多すぎて大変です
そして妥当性がある形で筋道をつけてこれらを組み立てる必要があります
正直なところ模擬試験は常に不合格でしたし合格できる気はまったくしていませんでしたね
より実践に近い形の試験である事例は多くの方が苦労されている科目だと思います
こればっかりは知識だけの話ではないので、アドバイスをいただける方にいただくのが良いですね
繊維製品品質管理士を取得するメリット
【繊維製品に関する知識を学ぶことができる】
TES取得を目指して勉強することで多くの知識を得ることができます
中には勉強しなければなかなか知り得ない知識もあると思います
ここで得た知識は仕事に活きてくるのは当然ですが、普段の生活でも活きてきます
ご自身が着ている洋服をどのように扱えばよいか、また洋服を選ぶ際の注意点などにも活用できます
私が繊維を知ることで生活の質が変わると考えているのはこの部分ですね
【仕事の幅がひろがる】
TESを取得することで仕事の幅が広がると思います
TESを活用して職種を変わることも可能だと思います
特に品質関連やクリエイティブな職種にはTESは役に立つ資格です
繊維業界内でやりたい仕事がある場合にはTES取得を考えてみると良いと思います
【信頼感につながる】
初対面の方でも名刺にTESと記載されているとそれだけで信頼感につながると思います
TESであるからすごいというわけでもありませんが、やはりある程度名のし知れた資格を持っているとそれだけで見え方は変わります
信頼感につながるとその後の関わりややり取りに大きな影響があるでしょう
客観的な判断材料になり得る点がメリットになると思います
【TES会でのつながりが広がる】
TESを取得するとTES会という会に加入することができます
全国に5つの支部があり、その支部単位で会合や勉強会、見学会などが催されます
そこで様々な方とつながり、情報交換することでより知見が深まっていきます
また何かあったときに相談できる方が見つかったりする場合もありますので、このつながりは重要なものだといえます
【就職や転職、人事評価で有利になる】
TES取得によって就職や転職に有利になる場合があります
ある程度名が知れていますし、相手が合格難易度も理解されている場合には資格欄にTESがあることがプラスに働くでしょう
また企業によっては資格手当がついたり、評価がプラスになる場合もあるようです
合格には努力が必要ですから、それに見合った対価があっても良いと思います
まとめ
今回はTESについてお話してきました
概要と試験内容メリットについて簡単に説明いたしましたが、ご興味は持っていただけたでしょうか
私自信、TESを取得して本当に良かったと感じていますし、TESを取得する意味が無いと思ったことは一度もありません
勉強で得た知識は必ず役に立ちますし、それは仕事だけでなく普段の生活においてもあります
それだけ繊維と生活は関わりが大きいということの表れだと思っています
たしかに勉強は大変ですし、合格できなければ次の年にまたチャレンジとなり長期間の戦いになってしまいます
ですがその努力は決して無駄にはならないですし、ご自身の力となるのは間違い無いでしょう
受験される方はぜひ頑張っていただき合格を目指していただきたいと思います
ではまた!
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