原着糸とは?メリット、デメリット、先染め糸との違いについて解説

原着糸 繊維製品お取り扱い方法
この記事はこのような方にオススメ!

・原着糸って何?
・原着糸のメリット、デメリットは?
・原着糸と先染め糸の違いは?

どもどもTにぃです

みなさん「原着糸」という糸をご存じでしょうか?

原着糸とは原料に顔料や染料を混ぜて着色して作られる糸のことです
原液自体に着色しているので赤、青、黒と色がついた糸ができます

以前先染め生地の解説をしました
先染め生地に関しては下の記事をご覧ください

先染め生地には原着糸を使用する場合と染めた糸を使用する場合があります
同じ先染め生地でも現着糸を使用する場合と先染め糸を使用する場合で期待できる性能が違います
それはつまり原着糸と先染め糸で特徴が異なるということなんです
原着糸には原着糸の良さがあり、必要に応じて使い分けなければいけないということですね

ということで今回は原着糸について、先染め糸との違いについて解説していこうと思います
この記事を読むことで原着糸の特徴をご理解でき原着糸と先染め糸を使い分けるメリットを感じていただけると思います

ぜひ最後までご覧ください

 

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原着糸とは?

原着糸

・正式には原液着色糸(Dope dyed yarn)
・原液に顔料や染料を混ぜて着色した糸
・環境負荷が少なくエコな糸として注目

原着糸とは正式には原液着色糸といい、英語では「Dope dyed yarn」となります

そもそも原液着色とは化学繊維の原液に顔料や染料などの色材を加えて着色することです
その原液着色された繊維から作られる糸のことを原着糸と呼びます
原着糸は糸と色素が一体となっているため様々なメリットがある糸なんです

化学繊維に関しては下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください


また原着糸は近年のサスティナブル志向から環境負荷の少ないエコな糸と考えられています
同じく着色してある糸で先染め糸がありますが、先染め糸は染色が必要となるため大量の水とエネルギーが必要となりCO2の排出も多くなってしまいます
一方原着糸は染色工程が無いため、水の使用量もエネルギーの使用量も少なく、CO2の排出量も少ない傾向にあります
その意味で原着糸はエコな糸として扱われる場合があります

エコの考え方は人それぞれな部分がありますが、資源の使用量を減らしCO2排出量も少ないという点ではエコな材料であると私は考えます

 

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原着糸のメリット、デメリット

原着糸のメリット、デメリット

・退色、変色、色移りしにくい
・染まりにくい繊維に着色可能
・色展開しにくい
・熱収縮が起きやすい

【退色、変色、色移りしにくい】
原着糸は原料自体に着色しているため繊維と色素が一体になっている糸です
繊維内に色素が閉じ込められているために退色、変色、色移りに強い糸となります
退色、変色、色移りは繊維製品、特に衣類に関してはとても大切な部分ですので、これらに耐性があるというのは大きなメリットになります

【染まりにくい繊維に着色可能】
原着は染まりにくい繊維に色をつけたい場合に有効な手段です
ポリプロピレン、ポリエチレン、アラミドなどは染まりにくい繊維のため原着糸で使用される場合があります

【色展開しにくい】
原着糸は生産時の色の切り替えにあたるロスが非常に多くなってしまいます
顔料や染料を混ぜた原料は全てその色の分となってしまいます
また色を切り替える場合には機械を一度清掃してきれいにしてから新たな色で作る必要があるため非常に時間と手間がかかります
そのため頻繁に色を変えることは難しく、生産にもある程度の量が必要となってしまいます

【熱収縮が起きやすい】
先染め糸は染色時に熱がかかります
特にポリエステルなどは約130℃と高い温度となります
そのことによって熱セットされるため以降もその温度までであれば収縮は起きにくいです
一方原着糸は染色工程が無いので高温がかかることがありません
よって熱収縮が起こる可能性があります
ただし原着糸でも熱セットをすることで収縮は軽減できます

 

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原着糸と先染め糸の違い

先染め糸

・先染め糸は繊維や糸の状態で染めているもの
・色展開しやすい
・天然繊維も可能
・退色、変色、色移りの可能性は高まる

先染め糸とは繊維や糸の状態で染められ色がついている糸のことです
原着糸は原液に着色している糸であることに対して、先染め糸は繊維や糸の状態で染めているものという部分が異なります

先染め糸は繊維や糸になった段階で染色するので、繊維や糸を大量に作った後にそれらを各色に染め分けることが可能です
よって原着糸に比べて色展開がしやすく、カラーバリエーション豊富に作ることができます
そして染め分けすることによって比較的少ない量から糸を作ることが可能となります

また原着糸は原液があることが前提ですので基本的には化学繊維でなければ作ることができません
一方先染め糸は繊維や糸の状態で染めるので天然繊維でも作ることができます

先染め糸は染めている糸であるため退色、変色、色移りの可能性は原着糸よりも高くなってしまいます
原着糸では顔料や染料が繊維と一体化しているため色が外にくくなっています
一方染色では染色加工工程を経ることで繊維と染料が結びつき着色することができます
この結びつきが切れてしまえば色が外に出ていってしまうので結果として退色、変色、色移りにつながってしまいます

 

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まとめ

まとめ

・原着糸とは原液に顔料や染料を混ぜて着色した糸のこと
・退色、変色、色移りに強く、染まりにくい繊維にも着色可能
・色展開しにくく、熱収縮も起きやすい
・先染め糸は糸の状態で染めて着色したもので色展開しやすく天然繊維でも作れる
・先染め糸の方が退色、変色、色移りの可能性が高まる

今回は原着糸について、また先染め糸との違いについて解説してきました

原着糸は生産に時間がかかったり生産量が多くなる一方で退色、変色、色移りに対して強く染まりにくい繊維でも着色することが可能という大きなメリットがあります
繊維業界の人でも「原着糸=退色、変色、色移りに強い」という認識の方は多いと思います
なので使用量と用途次第では原着糸が活躍できる場面は多いと思います

原着糸はあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、糸に色をつける方法として染色以外にも方法があるということを覚えておいていただければと思います

ではまた!

 

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