どもどもTにぃです
ストレッチ性のある衣類を皆さん必ずお持ちかと思います
ストレッチ性のある衣類はストレッチ素材から作られているのですが、そもそもなぜストレッチ素材は伸縮するのかご存じでしょうか?
ストレッチ素材の伸縮性の要因は大きく分けて2つあります
その2つとは
①伸縮性に優れた繊維を使用
②組織(編み方や織り方)
です
織物よりも編物の方が伸縮性が出やすいということは以前の記事で紹介しました
織物、編物の違いについては下の記事で解説していますのでぜひご覧ください
では伸縮性に優れた繊維とはどのような繊維があるのかご存じでしょうか?
有名なところでいくとポリウレタンがありますよね
しかしポリウレタン以外にも伸縮性に優れた繊維はあるんです
ということで今回はストレッチ素材に使用される繊維について解説していこうと思います
この記事を読むことで伸縮性に優れた繊維についてお分かりいただけ、ストレッチ素材への理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
ストレッチ素材に使用される繊維
伸縮性に優れた繊維の代表例として
「ポリウレタン繊維」「PTT繊維」「サイドバイサイド型複合繊維」
の3つが挙げられます
もちろんこれら以外にもストレッチ性のある繊維や糸はありますが、今回は代表例としてこの3つに絞りました
ポリウレタン繊維は多くの衣類に使用されていますし、組成表示の指定用語にもなっていますので比較的身近に感じる繊維だと思います
一方、PTT繊維とサイドバイサイド型複合繊維は繊維業界で働く方ではければなかなか知ることがない繊維ではないでしょうか
一言で伸縮性に優れる繊維と言っても、それぞれに異なる特徴がある繊維でメリットデメリットがあり使われ方も異なるものです
それぞれ解説していこうと思います
ポリウレタン繊維
ポリウレタン繊維は合成繊維の一種で、ゴムのような性質を持つ繊維です
伸縮性に優れる繊維として最も有名な繊維と言っても過言ではないでしょう
製品全体のほんの数パーセントに使用するだけで伸縮性が得られるというとてもストレッチ性に優れた繊維の1つです
またストレッチ性に優れるだけでなくキックバック(元に戻る力)も良く、柔らかく風合いが良い部分も特徴です
この特徴からポリウレタン弾性繊維と言われる場合もあります
一般的にポリウレタン繊維はそれ単体で使用することはあまりありません
ポリウレタン繊維を芯にして他の繊維をまとわせたり、他の糸を巻き付けたりすることで複合糸として使用する場合が多いです
短繊維と組み合わせるストレッチ繊維としてはポリウレタンがよく使用されますね
例えば、ストレッチ性と吸水性を併せ持たせたい場合にはポリウレタンを芯にして綿を巻き付けた複合糸を使用したりします
ただしポリウレタン繊維には弱点が多いという欠点があります
「加水分解」「紫外線」「塩素」「皮脂」「カビ」などによって劣化してしまうとてもデリケートな繊維なのです
パンツのゴム部分が伸びてしまったというのはこの理由である場合があります
そして一度劣化してしまうと復元は不可能で、ストレッチ性も失われてしまい伸びたままになってしまいます
せっかくのストレッチが台無しになってしまうので、ポリウレタン繊維は取り扱いには注意が必要です
ポリウレタン繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
PTT繊維
PTT繊維はテレフタル酸とトリメチレングリコールから作られる、比較的新しい新種のポリエステル系繊維です
同じポリエステルのPET繊維とは異なり、PTT繊維はバネのような分子構造をしており、そのためストレッチ性を有する繊維となっています
PTT繊維も低い応力で伸び、かつ回復力も優れるのが特徴です
また熱セット性、形態安定性に優れるため、PTT繊維を使用した衣類は洗濯による寸法変化が少ないと言われています
加えて耐候性による強度低下がほとんどないことも特徴に挙げられます
先述のポリウレタンは紫外線に弱く劣化してしまいますが、PTT繊維は紫外線による物性への影響は非常に少なく、変色もあまりしません
PTT繊維はストレッチ性だけではなく、ソフトは風合いでクッション性もある繊維です
そのため衣類だけでなくカーペットやクッション綿など幅広い用途でマルチに使用されている繊維です
そして現在流通しているPTT繊維は環境配慮型繊維である場合が多いです
原料の一部に植物由来の原料を使用して作られており、これによって新たな化石燃料の消費を抑えて、温室効果ガスの低減に寄与していると言えます
PTT繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
サイドバイサイド型複合繊維
サイドバイサイド型複合繊維とは収縮率が異なる2種類のポリマーを複合させた繊維のことです
ポリマー間の収縮率の差によってらせん状のクリンプ構造が発現し、それによってストレッチ性が発揮します
高収縮ポリマーと低収縮ポリマーを繊維軸に平行に貼り合わせて作られ、熱処理をすることによって捲縮を生じさせ、膨らみとストレッチ性をもたらす潜在捲縮繊維とします
ポリマーの組み合わせには様々な種類があり、その組み合わせによってストレッチ性、風合い、耐久性、染色性などの性能に影響します
なのでサイドバイサイド型複合繊維と言っても商品によって組み合わせが異なる可能性があるため性能も全く異なる場合があります
ポリマーにはPET、PTT、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などが使用され、ポリエステル系ポリマーが使用される場合が多いですね
サイドバイサイド型コンジュゲート繊維と呼ばれる場合もあります
複合繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
まとめ
今回はストレッチ素材に使用される繊維について解説してきました
ポリウレタン繊維はゴムのような性質を持った最も有名なストレッチ繊維です
単体で使用することはなく、他の繊維と組み合わせて使用する場合が多いです
ストレッチやキックバックに優れますが、弱点が多い欠点があります
PTT繊維はバネのような分子構造を持つポリエステル系繊維です
ストレッチとキックバックに優れ、耐候性にも優れ弱点が少ないことが特徴
ソフトな風合いやクッション性もあるため衣類だけでなくカーペットやクッションなどにも使用されます
サイドバイサイド型複合繊維は熱収縮率がことなる2種類のポリマーを複合させた繊維です
熱処理することで捲縮を生じさせ、膨らみとストレッチ性をもたらします
ポリマーの組み合わせによって得られる性能が異なるため、選択肢の幅が広い繊維と言えます
同じストレッチ繊維と言ってもそれぞれに特徴やメリット、デメリットが異なるため、使い方や用途が異なります
用途に応じてそれぞれを使い分ける必要がありますので、それぞれの特徴を知っておく必要がありますね
特にポリウレタン繊維は取り扱いに注意が必要なものですので、知っているか知っていないかでアイテムの寿命が大きく変わると思います
繊維の知識は生活に役立つものが多いので、これからも一緒に勉強していきましょうね
ではまた!
コメント