どもどもTにぃです
「複合繊維」という言葉をご存じでしょうか?
複合繊維とはその名の通り、複数のものを合わせてつくられる繊維のことです
複数のものを複合させることで、複数の特徴を併せ持った繊維をつくることが可能となり、より機能面や性能面で優れた繊維を生み出すことができます
そして複合のさせ方にも様々な方法があり、複合繊維の種類はその複合の方法によって分類されます
今回はそんな複合繊維について解説していこうと思います
この記事を読むことで複合繊維とは、その種類と具体例についてお分かりいただけ、複合繊維についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
複合繊維とは?
複合繊維とは2種類以上のポリマーから構成された単繊維のことです
このうち2種類のポリマーで構成されたものを二成分繊維といい、実用されている複合繊維の大部分を占めます
通常単繊維は1種類のポリマーからなるものがほとんどです
そのためそのポリマーが持つ特徴がそのまま繊維の特徴となります
しかし複合繊維は2種類以上のポリマーからなるものですので、それぞれの特徴を併せ持ったり、複合によって新たな特徴持った単繊維をつくることが可能となります
複合繊維には複合のさせ方によって種類が分けられ「サイドバイサイド形コンジュゲート繊維」「芯鞘繊維」「分割繊維」「海島繊維」の種類があります
次にそれぞれの種類について解説していきます
サイドバイサイド形コンジュゲート繊維
サイドバイサイド形コンジュゲート繊維は2種類のポリマーを繊維軸に平行に貼り合わせた繊維です
バイラテラル形、バイメタル形ともいわれたりします
高収縮ポリマーと低収縮ポリマーを貼り合わせると熱処理によってらせん状に捲縮を生じます
そのことによってストレッチ性と膨らみをもった潜在捲縮繊維となります
サイドバイサイド形コンジュゲート繊維としてよく使用されるPTT繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
芯鞘(しんさや)繊維
芯鞘繊維とは2種類以上のポリマーを同心円柱状に配列した繊維です
1本の繊維を芯成分と鞘成分で構成します
上の画像のような繊維であればポリマーAが鞘成分でポリマーBが芯成分となります
それぞれの成分に各種の機能材料を複合させることができ、機能の高度化や耐久性向上などが可能となります
芯部分に炭素や導電物質の微粒子を配合した導電性繊維、芯成分に酸化チタンなどの紫外線遮蔽性の無機粒子を配合したUVカット繊維などをつくることが可能です
また鞘成分に親水性ポリマーを配して適度の吸湿性をもたせた吸放湿繊維、鞘成分に融点の低いポリマーを配して熱接着性を付与した融着繊維なども可能です
分割繊維
分割繊維とは繊維の断面が2種類のポリマーによって数区画から数十区画に分割された繊維のことです
断面が中央から放射状に分割されたものや、繊維軸に平行に多分割されたものなどがあります
布地の染色工程などで熱と摩擦によって両成分が分離させることで超極細繊維をつくることが可能です
超極細繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
海島(うみしま)繊維
海島繊維は母体となる海成分の中に多数の島成分が繊維状に配列した繊維のことです
上の画像のような繊維であればポリマーAが海成分でポリマーBが島成分となります
海成分もしくは島成分のどちらか一方を加工によって除去して使用される場合が多いです
溶解性の海成分と超極細の島成分からなる海島繊維から海成分を溶解除去することで超極細繊維をつくることが可能です
また島成分に溶解性ポリマーを配したものからは多孔中空繊維をつくることが可能です
中空繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
まとめ
今回は複合繊維について解説してきました
複合繊維とは2種類以上のポリマーから構成された単繊維のことです
異なるポリマーそれぞれの特徴を併せ持ったり、複合によって新たな特徴持った単繊維をつくることが可能となります
複合繊維には複合のさせ方でサイドバイサイド形コンジュゲート繊維、芯鞘繊維、分割繊維、海島繊維の種類があります
サイドバイサイド形コンジュゲート繊維は2種類のポリマーを繊維軸に平行に貼り合わせた繊維です
芯鞘繊維は2種類以上のポリマーを同心円柱状に配列したもので、1本の繊維を芯成分と鞘成分で構成します
分割繊維とは繊維の断面が2種類のポリマーによって数区画から数十区画に分割された繊維のことです
海島繊維は母体となる海成分の中に多数の島成分が繊維状に配列した繊維のことで、どちらか一方を除去して使用される場合が多いです
複合繊維のつくられ方は本当におもしろいと思います
そして1つの繊維で材料2種類以上の機能や性能を付与することができ、実用面でも優れた繊維だと思います
短繊維同士を混ぜ合わせる混紡や長繊維同士を合わせて使用する混繊とは異なり、単繊維で多くの機能や性能を持ったり新たな特徴を持つことができる点がすばらしいですよね
様々な材料と加工方法を組み合わせることで、数えきれない程の選択肢が生まれる繊維は、非常に奥が深くまだまだ可能性を秘めているものだと思います
今後の新たな繊維の誕生に期待したいと思います
ではまた!
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