どもどもTにぃです
みなさん「整経」という言葉をこ存じでしょうか?
整経とはその名の通りで「たて(経)糸を整える」工程です
つまり生地をつくるために必要なたて糸を準備する工程です
織生地や経編生地にはたて糸が必要であり、それらをつくるためには整経が必要不可欠な工程ということです
今回はそんな整経について解説していこうと思います
この記事を読むことで、整経とは、整経の目的、整経の種類についてお分かりいただけ、整経についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
整経とは?
整経とは一言でいうとたて糸ををビームに巻き上げることです
織物、経編には数百本〜数千本、多いと1万本以上のたて糸が必要となります
この多数の経糸1本1本を織機、編機にセットすることは不可能ですので、たて糸はビームという巨大なボビンに巻き上げてから織機、編機にセットしてたて糸として使用されます
そのボビンに巻き上げてたて糸を準備する工程のことを整経といいます
整経工程はたて糸が必要となる製織、経編には欠かすことのできない準備工程となります
狭義の整経はたて糸をビームに巻き上げることですが、広義では糊付け工程までを含めて整経とする場合もあります
糊付けとはその名の通りでたて糸に糊剤を付与することです
糊付けは糸の毛羽を抑えたり、たて糸同士が摩擦しにくいようにする目的があります
糊付けはたて糸をビームに巻き上げる前にする場合もあれば、ビームに巻き上げた後にする場合、またビームに巻き上げられる途中でする場合もあります
よってたて糸を準備する工程として整経・糊付け工程とひとまとめとして扱われる場合があります
織物、経編に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
整経は何のためにするの?
生地がつくられる際には繊維、色、柄だけではなく幅、長さ、糸密度等の規格も決められます
整経工程ではその規格に沿って必要なたて糸を準備します
例えば127cm幅 たて糸密度80本/inchの生地を1000m分つくるとなると4000本のたて糸が最低でも1000m分以上必要となります
この4000本の糸すべてを必要な長さ分ビームに巻き上げなければ規格通りの生地をつくることができなくなってしまいます
また単にビームに4000本のたて糸を巻けば良いわけではなく、1本たりとも交差することなくその全てがきれいに並列している必要があります
たて糸が並列せずに交差しているとその部分で糸切れを起こしてしまうからです
また規格によってはたて糸が全て同じ色ということではなく、様々な色のたて糸を規則的に並べる必要がある場合もあります
その他にもたて糸の張力を一定にする、糸欠点を除去する等の品質や織りやすさ、編みやすさに影響する場合もあります
規格された通りの生地をつくるためには整経が必要不可欠になるということになります
整経にはどんな種類があるの?
整経には大きく分けて「荒巻整経」「部分整経」「サンプル整経」などがあります
これらは生産量や先染め、後染め等によって使い分けられます
先染め、後染めに関してはしたの生地で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
それぞれ整経方法について解説していきます
荒巻整経
1000本前後の糸を荒巻ビームに巻き取る整経方法
必要本数の荒巻ビームから全てのたて糸を引き出し糊付けを経て製織、製編用ビームに巻き上げられる
一斉のため効率がよく大ロット製品に適しており、後染め生地や先染無地生地等に用いられる
部分整経
全幅で必要な経糸をいくつかの細幅部分に分けてから最終それらを合わせてビームに巻き上げる整経方法
例えば全幅で4000本のたて糸が必要な場合、500本×8回で準備するイメージ
500本をドラムという筒状のものに巻き、その横にまた500本巻く、またその横に500本巻くことを8回分繰り返して4000本のたて糸をドラムに巻いた後に製織、製編用ビームに巻き上げる
小ロット製品に適しており、縞柄生地や先染ジャカード生地等に用いられる
サンプル整経
短い生地見本をつくる際に用いられる整経方法
1本〜数本と極少量の糸を必要本数、m分巻き上げる
基本的には生地見本用に用いられるが、極小ロット製品にも用いることは可能
まとめ
今回は整経について解説してきました
製織、製編に必要な数千本以上のたて糸を織機、編機にセット可能な状態にするためにビームに巻き上げる工程を整経といいます
整経では規格通りの生地を安定してつくることを目的として必要本数のたて糸を必要な長さ分並列させて巻き上げていきます
整経には大ロットに適した荒巻整経、小ロットに適した部分整経があり、それ以外に生地見本など極小ロット向けのサンプル整経もあります
整経は生地をつくるための準備工程の一つですが、とても重要で種類があることをお分かりいただけたのではないでしょうか
まだまだ解説しきれていないですが、整経という準備工程の一つを取ってもこのボリュームですので、生地をつくるには多くの工程が必要でとても奥が深いものなのだと改めて感じますね
これからも一緒に勉強していきましょう
ではまた!
コメント