経編(たてあみ)とは?経編の特徴、種類などについて解説

繊維製品の基礎知識
この記事はこのような人にオススメ!

・経編とは?
・経編にはどんな特徴があるの?
・経編にはどんな種類があるの?

どもどもTにぃです

みなさん「経編(たてあみ)」という言葉をご存じでしょうか?

経編とは編物の一種であり、その名の通りたて方向に編まれていく編地のことです

「そもそも編物ってなに?」という人は下の記事で解説していますので、まずはそちらをご覧ください


編物は大きく分けるとたて方向に編んでいく「経編」とよこ方向に編んでいく「緯編」に分けられます
このうち経編はその特徴から編物であるにも関わらず「編物と織物のハイブリッド」といわれることがあります

そして「編物と織物のハイブリッド」と呼ばれる特徴から、衣料用途以外にも活用されているものもあります

今回はそんな経編について解説していこうと思います
この記事を読むことで経編とは、その特徴や種類についてお分かりいただけ、経編についての理解が深まると思います

ぜひ最後までご覧ください

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経編とは?

たて編
出典:業界マイスターに学ぶ 繊維の基礎知識
経編

・たて方向にループをつくっていく
・編物と織物のハイブリット
・衣類以外の用途にも活用

経編とはたて方向にループを形成していくことで編地をつくることです
布の長さ方向に多数配列された糸(たて糸)のそれぞれでループを形成し、これらのループを幅方向に連結させることによってつくられます

経編はその生産工程や編地の特徴から「編物と織物のハイブリッド」といわれる場合があります
これはループを形成することで生地をつくる「編物のつくり方」とたて糸が必要になるという「織物に似た準備工程」を併せ持つためです
また経編によってつくられる生地はよこ編ほどルーズではなく織物ほどかっちりしたものでもなく、その中間に位置する生地をつくることができる点も理由です

経編は編物では珍しく衣類以外の用途にも活用されています
Tシャツ、セーター、スポーツウエアなど編物は衣類に活用されているイメージがあると思います
たしかに圧倒的に編物の用途としては衣類関係が多いです
一方で経編によってつくられる編地はカーテンなどのインテリア資材、カーシートなどの車両資材、その他にも農業資材や医療資材などにも活用されています
この用途の広さも「編物と織物のハイブリッド」である経編ならではといえるでしょう

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経編にはどんな特徴があるの?

経編の特徴

・たて方向に伸縮
・しっかりとした編地
・生産性が高い

経編はそのつくられ方から様々な特徴を有します

特徴の一つ目として「たて糸方向の伸縮性が高いこと」が挙げられます
経編たて方向にループを形成して編み進めていくためたて方向の伸縮性が高くなります
一方でそれぞれの列を連結させて編地をつくっていくためよこ方向の伸縮性はそこまで大きくない傾向にあります

特徴の二つ目として「しっかりとした編地となる」ことが挙げられます
よこ編は比較的伸縮性が高くルーズな編地をつくることが可能です
一方経編は比較的伸びにくくしっかりとした編地をつくることが可能です
場合によってはほとんど伸びない編地をつくることもできます
この特徴が経編生地が「編物と織物のハイブリッド」といわれる理由の一つとなっています
よこ編に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください

   
特徴の三つ目として比較的生産性が高いことが挙げられます
経編はたて方向にループを形成し編み進んでいくため効率よく編地をつくることが可能とされています
ただし経編は比較的密度の高いしっかりとした編地をつくる傾向があるため、ルーズな編地をつくる場合と比較すると生産性が劣る場合もあります

またこれら以外にも「ラン(伝線)が起こりにくい」「整経など一定の準備工程が必要」「フィラメント使いが多い」などの特徴もあります

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経編にはどんな編み方があるの?

経編の基本組織

・デンビー編
・コード編
・アトラス編

経編の基本的な編み方として「デンビー編」「コード編」「アトラス編」の3種類が挙げられます
それぞれ解説していきます

デンビー編

デンビー
出典:新・繊維総合辞典

デンビー編は隣り合った列に対して交互に次のコースでループをつくる編み方です
このデンビー編が最も基本的な経編組織とされています
編地が薄くカーリング(まくれ)が生じて安定性が悪いため、編組織として単独で用いられることはあまりありません

コード編

コード
出典:新・繊維総合辞典

ループをつくった列に対して1〜2列程飛ばした列に次のコースでループをつくる編み方です
シンカーループの飛びが長くなるほど浮き部分も長くなるため編地は厚くなる傾向にあります
また外観も滑らかになり光沢も増す傾向を示します
コード編もデンビー編と同様に編組織として単独で用いられることはあまりありません

アトラス編

アトラス編
出典:新・繊維総合辞典

デンビー編やコード編のように1コース毎に折り返さず、同方向に数列分ループを形成した後に折り返して逆方向に数列分ループを形成する編み方です
同じ方向に編むときは開き目となり、折り返すときには綴じ目となるのが一般的とされます
アトラス編も単独で用いられることは少なく、逆方向の編組織と組み合わせて使われることが多いとされます

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経編生地にはどんな種類があるの?

経編生地の種類

・トリコット
・ラッセル  等

経編生地の代表例として「トリコット」と「ラッセル」が挙げられます
それぞれ同じ経編であり使用される編組織にも大きな差はありませんが、使用される機械が異なることで特徴の異なる編生地がつくられます
それぞれの違いを中心に解説していきます

トリコット

トリコットとはトリコット編機でつくられる編生地のことです
トリコットは衣料用途で幅広く使用されている経編生地です
ラッセルに比べてトリコットの方が生産性が高く、また小さなループをつくることが可能です
トリコットは編機の機構上細い糸を使用する場合が多いとされます

出典:You Tube Hatta warpknit チャンネル

ラッセル

ラッセルとはラッセル編機でつくられる編生地のことです
ラッセルはトリコットに比べて生産性は劣るものの、様々な柄の生地をつくることが可能です
またトリコットに比べて太い糸を使用することが可能であり、厚地もつくりやすいとされています

出典:You Tube Hatta warpknit チャンネル

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まとめ

まとめ

・経編はたて方向にループを形成してつくられる編地
・編物と織物のハイブリッド
・たて方向の伸縮性、しっかりした生地、高生産性の特徴
・デンビー、コード、アトラスの基本組織
・トリコットとラッセルが代表例

今回は経編について解説してきました

経編とはたて方向にループを形成していくことで編地をつくることです
布の長さ方向に多数配列された糸(たて糸)のそれぞれでループを形成し、これらのループを幅方向に連結させることによってつくられます

経編はその生産工程や編地の特徴から「編物と織物のハイブリッド」といわれる場合があります
これはループを形成することで生地をつくる「編物のつくり方」とたて糸が必要になるという「織物に似た準備工程」を併せ持つためです
また経編によってつくられる生地はよこ編ほどルーズではなく織物ほどかっちりしたものでもなく、その中間に位置する生地をつくることができる点も理由です

経編には「たて方向の伸縮性に優れる」「しっかりとした編地」「生産性が高い」「ラン(伝線)が起こりにくい」「整経など一定の準備工程が必要」「フィラメント使いが多い」などの特徴があります

経編の基本的な編み方として「デンビー編」「コード編」「アトラス編」の3種類があります
これらの編み方は単独で用いられることは少なく、他の編み方と組み合わせて用いられる場合が多いです

経編生地の種類としては「トリコット」と「ラッセル」が挙げられ、これらはそれぞれ編機の違いによって区別されます
トリコットは生産性が高く、小さなループをつくることができ、細い糸を使用します
ラッセルは様々な柄の生地をつくることができ、太い糸を使用でき、厚地をつくりやすいとされます

経編と一言でいっても、様々な編み方があり、生地にもいくつかの種類があることをお分かりいただけたかと思います

多くの種類があることであらゆる用途に対応できる生地をつくることが可能となります
逆にいえば、用途に応じて機械、糸、編組織を組み合わせて最適な生地をつくる必要があります

単に「経編」と一括にしてしまうことなく、経編の中でも異なる特徴を持つ様々な種類があることを覚えておいていただければと思います

ではまた!

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