どもどもTにぃです
みなさん「直接染料」という染料をご存知でしょうか?
「そもそも染料ってなに?」という人は下の記事で染料の解説をしていますので、まずはそちらをご覧ください
直接染料とはその名の通りで直接繊維を染めることができる染料のことです
直接繊維を染めることができるということはメリットになり得ますが、その一方で直接染料を使用するデメリットも存在します
今回はそんな直接染料について解説していこうと思います
この記事を読むことで、直接染料とは、その特徴、メリットやデメリットについてお分かりいただけ、直接染料についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
直接染料とは?
直接染料とは前処理を行わずに直接繊維に染着する染料のことです
染色において染料が前処理無しに繊維に吸着される性質のことを「直接性」といい、直接染料はこの直接性が高い染料であるといえます
直接染料は主に綿、麻、レーヨンなどのセルロース系繊維の染色に用いられることが多い染料です
これは染料分子中のアミノ基やヒドロキシ基が繊維分子中のヒドロキシ基と水素結合を生じやすいため、セルロース系繊維に対して親和性が大きいからです
セルロース系繊維に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
直接染料は水溶性染料であるため、水に溶かして染液をつくり繊維を染色します
染色の際は水素結合だけでなく、染料分子とセルロース分子との間にファンデルワールス結合が生まれることで染料と繊維を結びつける手助けをします
直接染料が開発される以前は天然染料や塩基性染料(先媒染法)などが用いられていました
その際、綿は染色性が悪く、前処理しないときれいな濃色が得られませんでした
その後、1884年に「コンゴーレッド」という赤色の染料が開発され、これが前処理無しで直接染色できることから「直接染料」と名付けられたとされています
直接染料で染めるメリットは?
直接染料で染めるメリットとしては染色方法が比較的簡単であることが挙げられます
これは染料が水溶性で水に溶かすだけで染液がつくれることや染色の際に前処理が必要無いことが理由です
加えて染色時に100℃を超える高温にする必要も無いことも寄与します
これらのことから染色工程が複雑になりにくく、また時間やエネルギーも大きく消費しないため染色加工自体が比較的安価となる傾向があります
また色相が豊富でカラーバリューが高く、濃色使いにも対応していることもメリットに挙げられます
さらに直接染料は主にセルロース系繊維の染色に用いられる場合が多いですが、実はセルロース系繊維以外の染色も可能です
羊毛、絹などのタンパク質繊維やビニロン、ナイロンなどの合成繊維の染色も可能であり、染色可能な繊維の幅が広いこともメリットといえます
直接染料で染めるデメリットは?
直接染料で染めるデメリットとしては湿潤堅牢度が悪いことが挙げられます
これは直接染料が水溶性であるため、湿潤することでその水によって溶け出てしまうためです
この湿潤堅牢度の低さはフィックス剤で処理することによってある程度の対策をすることは可能ですが、そのために一工程増えることになってしまいます
またフィックス剤で処理することによって逆に耐光堅牢度が低下してしまうこともあり、加えて色が若干変ってしまうというデメリットもあります
そして一部の直接染料には安全性の問題があるものもあります
それらは規制の対象となり現在では使用できなくなっていますが、そのような種類もあるということを知っておく必要があります
まとめ
今回は直接染料について解説してきました
直接染料とは前処理を行わずに直接繊維に染着する染料のことです
直接染料は主に綿、麻、レーヨンなどのセルロース系繊維の染色に用いられます
直接染料を使用することで染料染色が比較的簡単、比較的安価、色相が豊富で濃色も可能、染色可能繊維が多いなどのメリットがあります
一方で、湿潤堅牢度が悪い、フィックス剤での処理が必要、一部安全性に問題があるものもあるなどのデメリットもあります
現在ではセルロース系繊維の染色は反応染料に代替されており、直接染料の使用はかなり減少している状況です
しかしながら用途によっては現在でも直接染料が使用されるケースもあります
染めやすい代わりに色が出やすいという一長一短なところがあるりますが、その特徴を掴んでさえいれば問題なく使用できますので、しっかりと理解しましょうね
ではまた!
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