どもどもTにぃです
「反毛(はんもう)」という言葉をご存じでしょうか?
反毛とは廃棄糸、廃棄生地、古着などを綿状に戻して繊維として再利用することです
近年のサスティナブル志向によって改めて注目されている繊維再利用手段の1つです
反毛はなかなか聞き馴染みが無いかもしれませんが、反毛によって得られた繊維を使用している製品は私たちの身の回りに多く存在しています
見えない部分に使用されたり、そもそも反毛だと分からないものも多いので、気づくことは少ないかもしれませんが、確実に反毛技術は活かされ、新たな製品を生み出しています
今回はそんな反毛について解説していこうと思います
この記事を読むことで、反毛とは、反毛の工程、反毛繊維の用途についてお分かりいただけ、反毛についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
反毛とは?
反毛とは不要になった衣類、廃棄生地、廃棄糸などを回収し、機械によって綿状に戻してから再度繊維として利用する方法のことです
諸説ありますが反毛は明治時代に始まったとされており、近代化に伴って洋服を着用するようになり、羊毛製品が増えだしたころだそうです
羊毛繊維の需要が増えているにも関わらず、羊毛繊維の国産化ができておらず、羊毛繊維は非常に貴重なものとなっていました
そのため一度使った羊毛繊維を反毛によって再利用する技術が生まれたとされており、そこから長い間反毛を活用してきたそうです
そしてもともと反毛は羊毛繊維が始まりであったようですが、現在では綿繊維やポリエステルなど一部の合成繊維も反毛の原材料となっています
羊毛、綿、ポリエステルについてはそれぞれの記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
反毛は廃棄されるものを針で引っかくことで綿状に戻し繊維として再利用します
このため反毛によって得られた繊維は繊維長が短くなったり傷ついたりしているため、最初の状態よりも品位としては下がってしまいます
そのため見た目が悪かったり糸になりにくかったりする場合があり、得られた繊維は何にでも活用できるわけではなく用途が限定される場合が多いです
リサイクルされた繊維ですら元よりは品質が低下する傾向にあるため、物理的に綿状に戻したものであればなおさら品質が悪くなっても仕方無いように感じますね
リサイクルに関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
反毛の工程
反毛は大きく3つの工程に分けることができます
それぞれの工程について説明していきます
【分別】
まず最初に組成や色などの種類ごとに分別します
羊毛100%や綿100%にしたいとき、得られる繊維を指定の色にしたいときはこの分別が重要になってきます
衣類であればボタンやファスナーなどの付属品がついている場合があるためこの段階で外されることがあります
【裁断】
分別したものを機械で細かくカットしていきます
細かくカットすることで次の工程で綿状にしやすくなります
また異なる組成の原料を混ぜるときはこの段階で混ぜることがあります
【開繊】
反毛機によって綿状に戻していきます
無数の針がついたローラーで原料をひっかくことで綿状にします
綿状になった繊維が再利用され新たな製品や材料に生まれ変わります
反毛繊維の用途
反毛繊維は再度製品に利用されます
しかしながら先ほど説明した通り、反毛繊維は長さが短くなっていたり傷ついたりしているためどのようなものにも再利用できるというわけにはいきません
そんな反毛繊維の用途を紹介します
【フェルト】
反毛繊維の用途の中で最も多いものがフェルトだと思います
このフェルトは自動車の防音材や建築用断熱防音材などに利用されます
目につく部分には使用されないため、見た目の良さにこだわる必要がなく、反毛繊維の用途にしやすいものですね
【中綿】
反毛繊維は中綿にも使用される場合があります
反毛した段階で綿状になっているため、そのまま中綿として使用できる場合があります
ぬいぐるみやクッションの中綿、イスやカーシートのクッション材に利用されます
【糸】
反毛することで長さが短くなったり傷ついたりするため糸にしづらくはなってしまいますが、反毛繊維を糸に再利用する用途も多くあります
特に毛織物を反毛した繊維を70%、その他の繊維を30%使用した毛七(けしち)が有名です
リサイクルウールと呼ばれるものはこの毛七である場合が多いです
その他にも綿製品を反毛した繊維から得られる糸は軍手に利用されることもあります
まとめ
今回は反毛について解説してきました
反毛とは不要になった衣類、廃棄生地、廃棄糸などを回収し、機械によって綿状に戻してから再度繊維として利用する方法のことです
もともと反毛は羊毛繊維が始まりであったようですが、現在では綿繊維やポリエステルなど一部の合成繊維も反毛の原材料となっています
反毛は大きく3つの工程に分けることができ、①分別②裁断③開繊工程を経て綿状の繊維へと戻されます
反毛繊維の用途としてはフェルト、中綿、糸などがあります
ただし反毛することで見た目が悪くなったり、繊維が短くなったり、傷ついてしまったりする影響でどのようなものにも利用可能というわけにはいかず、用途が限定される傾向にあります
近年のサスティナブル志向から繰り返し利用し廃棄物を減らすということで反毛が改めて注目されています
適した用途であれば反毛繊維を活用することは十分可能ですし、日本人に深く根付いている「もったいない精神」からも反毛は優れた再利用方法だと思います
先人の知恵から生まれた「反毛技術」を今後も大切にしていくと同時に進歩させることで、「もったいない」がどんどん減っていくといいなと思います
ではまた!
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