どもどもTにぃです
とうもろこしから作るプラスチックといえばポリ乳酸
近年のサスティナブルブームから石油を使わない、生分解性があるということで注目されているものです
そしてそのポリ乳酸を繊維状にして糸や不織布などが作られ、それが実際に使われているんです
ユニチカのテラマックが有名ですね
そんなポリ乳酸繊維ですが、衣類用繊維として普及しているのかというと一部ポリ乳酸繊維を使った製品はありますがまだそこまで多くはありません
ポリ乳酸繊維についてはまだまだ研究開発途上な繊維であり、克服すべき課題が多くあるのが現状です
今回はそんなポリ乳酸繊維についてお話していこうと思います
可能性を秘めた素晴らしい繊維について解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください
ポリ乳酸繊維とは?
ポリ乳酸(Poly-Lactic Acid:PLA)繊維は植物由来のエコな繊維として注目の繊維です
基本的にはとうもろこしから作られる場合が多く、これはじゃがいもやサトウキビなどと比べると同じ重量であればとうもろこしからが最も多くのポリ乳酸を作ることができ効率が良いためなんです
なのでポリ乳酸繊維は別名とうもろこし繊維と呼ばれたりします
このとうもろこしは工業用のとうもろこしを使用して作られる場合が多いのが現状です
しかし非可食部分や廃棄分使ってポリ乳酸を安定生産する研究も進められており、今後ますます資源を有効活用していけるようになると思います
ポリ乳酸繊維の特徴
【植物由来】
通常のプラスチック繊維は石油原料のものばかりです
有限である石油を原料としていてはいずれ原料が枯渇してしまいます
一方ポリ乳酸は植物由来のプラスチック繊維であり、環境に優しい繊維といえます
そのためポリ乳酸が代替プラスチックとして注目されているのです
【生分解性を有する】
生分解性とは微生物によって最終的には水と二酸化炭素に分解される性質のことです
ポリ乳酸はこの生分解性を持つプラスチックなのです
上の画像はポリ乳酸、コットン、ウール、ポリエステルの生地をコンポストの中に放置してどれくらい生分解性があるか比較したものです
14日目でテラマック(ポリ乳酸)が圧倒的に分解されていることが確認できると思います
同じプラスチック繊維のポリエステルはほぼ分解されずにそのままの形状で残っていますね
このようにして生分解性があることで焼却せずに土に埋めて分解するということが可能となり廃棄方法の選択肢が広がります
二酸化炭素をあまり排出せず、地球温暖化対策につながるといえるでしょう
生分解性繊維に関しては下の記事も合わせてご覧ください
【繊維・糸にしやすい】
ポリ乳酸以外ににも生分解性プラスチックは色々種類があります
しかし強度などの面から考えると繊維や糸にしやすいものは非常に少ないのです
そんな中ポリ乳酸は最も繊維や糸に向いているものといわれています
短繊維だけでなく長繊維も可能であるため様々な糸や不織布を作ることが可能です
性能もポリエステルに若干劣る部分もありますが、特別な性能を求めなければ概ね問題無いとの結果もあります
まさしく代替プラスチックということですね
【抗菌性がある】
これは乳酸が持つ制菌性が影響しているといわれています
実際にポリ乳酸繊維で黄色ブドウ球菌を用いた抗菌防臭試験を行った結果、性能ありと結果が出たそうです
ただし仕上げ加工などを行うとそのその性能が無くなってしまうとの報告もありますので注意が必要です
ポリ乳酸繊維の欠点
【寸法安定性が低い】
ポリ乳酸繊維は寸法安定性が低い欠点があります
特に熱収縮は大きく、熱がかかる場合には取り扱いに注意が必要です
熱セット効果が少なく、扱いづらい部分があると思われます
【耐熱性が低い】
ポリ乳酸繊維は耐熱性が低いです
融点が170℃程度であり、高温アイロンをあてると溶けてしまう可能性があります
アイロンがけをする場合なら低音にあて布をするくらいまでしなければいけません
また耐熱性が低いため、綺麗に染色することが難しいとされています
最近では耐熱性能が上がったポリ乳酸繊維も開発され、そのようなものであれば染色は可能となっているようですが、まだまだ途上段階かと思われます
【高温高湿下で劣化】
ポリ乳酸繊維は高温高湿下で加水分解が進行してしまい劣化してしまいます
特に洗濯後のタンブル乾燥は非常に危険といえます
【製品にすると非常に高価】
おそらく衣類用としてポリ乳酸が普及していない一番の理由はこれだと思います
ある程度性能がある高品質なポリ乳酸繊維を作ろうとするとかなり高価になってしまいます
そしてそれから衣類を作るとなるとさらに高くなってしまうんです
実際にポリ乳酸繊維を使用したブラウスが1着5万円程と非常に高価となっています
より効率よく大量に生産できる技術が確立されれば価格は下がってくるかもしれませんが、まだしばらく時間はかかりそうですね
技術の進歩を待ちましょう!
ポリ乳酸繊維の用途
ポリ乳酸は衣類にも使用されますが、衣類よりも産業資材が多いように思います
特に農業用資材や園芸用資材と外で放置されてもある程度耐えられて、なおかついずれは生分解することでゴミとなりにくいという点で活用されていると思います
ティーバッグに使用されていたり、ボディタオルとして販売されているのも見ますね
衣類としては上記のような欠点を解消できれば今後どんどん普及していくと思います
まだしばらくは普及する可能性は低いと思いますが、将来的には代替プラスチックとしてポリエステルにとって替わっていくかもしれませんね
まとめ
今回はポリ乳酸についてお話してきました
まだまだ改良途上のポリ乳酸ですが、もっと性能が良くなり大量生産が可能となればポリ乳酸の時代がやってくるかもしれません
サスティナブルの流れは今後加速していくと思われます
そうなると限りある資源から作られ、環境負荷の大きいものは少しずつ代替品に替わっていくことが考えられます
現状合成繊維ではポリエステルが最も生産量が多いですが、もしかしたらポリ乳酸に替わっていくかもしれません
ポリ乳酸は開発されて20〜30年程度と比較的新しいものです
なので今後の進化が本当に楽しみで可能性を秘めた繊維だと思います
引き続き注目していきたいと思います
ではまた!
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