どもどもTにぃです
みなさん「芯地」をご存知でしょうか?
アパレル業界に携わり、特に製品の企画や縫製をされている人にとっては日常のように見聞きするものかもしれませんが、一般の人にとってはあまり聞き馴染みのないものかもしれませんね
芯地とは主素材の内側に用いられる材料のことで、主素材の不足する性能を補填する目的で使用されるものです
芯地に求められる性能は多岐にわたり、また種類も豊富で使用方法や製法で分類され、用途に応じて最適なものが使い分けられます
今回はそんな芯地について解説していこうと思います
この記事を読むことで、芯地とは、芯地を使用する目的、芯地の種類についてお分かりいただけ、芯地についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
芯地とは?
芯地とは主素材の内側に用いられる生地のことです
芯地は寸法安定性、立体成形性など主素材に不足している性能を補填し、生産効率と製品の外観や着用性能を向上させる目的で用いられます
衣服の中にある芯地は表地と裏地に隠れて直接目に触れることは少ないですが、芯地を人間の体に例えると骨の役割をしており、衣服を形作る上で最も重要な役割を果たしています
芯地はスーツ、ジャケット、コート、シャツ、ブラウスなど幅広いアイテムに使用されています
芯地には様々な種類があり、芯地の使用方法、製法や基材などによって分類されます
デザインイメージに基づいた衣服をつくる上で、多種多様な品質特性をもつ芯地の中から最適な表現力をもつ芯地を選定することが、商品価値の決めることになります
芯地を使用する目的は?
芯地にに要求される主な機能として「成形性」「保形性」「寸法安定性」「補強」「可縫性」「風合い付与」などが挙げられます
【成形性】
表地のみでは体にまとわりつきシルエットを形作ることができない
そのため適度なハリ・コシを付与して立体感を出し、フィット性とゆとりのバランス調整で着用感の良い服を作り上げる
【保形性】
着用中の体の動きや洗濯、また保管中の外力や自重による変形を防ぐ
【寸法安定性】
アームホール、フロントエッジ、ラペル返り線など伸び縮みが発生することにより着用感不良や外観不良の恐れがある部分の寸法を安定させる
【補強】
ポケット口、ボタンホールなど縫製時の加工性向上や着用時の変形を紡糸する
【可縫性】
縫いやすくし、パッカリングを防止する
【風合い付与】
必要な部分に硬さやハリをもたせる
芯地にはどんな種類があるの?
芯地には多くの種類があり、使用方法や製法で分類することができます
それぞれ解説していきます
使用方法での分類
芯地は使用方法の違いで「ふらし芯地」と「接着芯地」に分類されます
【ふらし芯地】
ふらし芯地とは縁縫いやハ刺しなどによって縫い付ける芯地のこと
芯地を必要とする衣服のパーツに合わせて、しつけによって仮止めした後に縫合される
毛や麻など太く剛直な繊維の性質を利用し、芯地のもつ硬さや張りによって衣服の形状を安定させる
「毛芯」「麻芯」「綿芯」「不織布」などの種類がある
【接着芯地】
接着芯地は片面に接着剤が塗布されている芯地のこと
接着剤は主にホットメルトであることが多く、表地と接着芯地を重ね合わせて加熱することによって一体化させ使用する
ホットメルト樹脂にはポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系などがある
片面全てに接着樹脂を塗布することで風合いが硬くなる傾向があるため、ドット状に塗布することで風合いを損ねにくくしたものもある
ホットメルトに関しては下の記事で解説していますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください
製法による分類
芯地は製法の違いによって「織物芯地」「編物芯地」「不織布芯地」「複合芯地」に分類されます
【織物芯地】
基材が織物である芯地のこと
たて糸、よこ糸の組織に自由度があるため、せん断性に優れ、くせ処理などの造形が容易
繊維組成、番手、密度などによって性質は大きく変化し、ドレープ感のあるものや伸縮性のあるものも可能
織物に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
【編物芯地】
基材が編物である芯地のこと
トリコットやラッセルなど経編生地を使用しているものが多い
経編に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
【不織布芯地】
基材が不織布である芯地のこと
不織布はその特殊な構造や製法によって、軽い、ホツレにくい、シワになりにくい、寸法安定性に優れるなどの特性がある
また風合いやドレープ性を変えることも容易であるため様々なアイテムに使用される
不織布に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
【複合芯地】
複数の素材を組み合わせてつくられる芯地のこと
織物や編物と不織布をサーマルボンドや水流絡合などの方法で結合させるものや、不織布にチェーンステッチを付与したものなどがある
いずれも組み合わせる素材と結合方法によって特性は異なり、両者の特徴を併せ持ち単体では得られなかった性能をもつ
まとめ
今回は芯地について解説してきました
芯地とは主素材の内側に用いられる生地のことです
主素材に不足している性能を補填し、生産効率と製品の外観や着用性能を向上させる目的で用いられます
具体的な求められる性能としてしては「成形性」「保形性」「寸法安定性」「補強」「可縫性」「風合い付与」が挙げられます
芯地には多くの種類があり、使用方法や製法で分類することができます
使用方法での分類としては逢着して使用する「ふらし芯地」と熱接着して使用する「接着芯地」があります
製法での分類としては「織物芯地」「編物芯地」「不織布芯地」複数の素材を複合させた「複合芯地」があります
芯地は普段目にすることはなかなか無い材料ではありますが、その種類の多さ、果たす役割の多さ、衣服における重要性がお分かりいただけたと思います
衣服の形を整える、美しい外観を保持する、負荷のかかる部分を補強するために活躍している芯地は間違いなく縁の下の力持ちとなっています
見えない部分も含めて多くの部材が使用されており、それら一つ一つのおかげて衣服が構成されているということを改めて認識していただければと思います
ではまた!
コメント