どもどもTにぃです
「双糸(そうし)」という糸をご存知でしょうか?
双糸とは2本の糸を合わせた糸のことです
繊維の世界では100Dの糸をつくる際に100Dの糸をそのままつくる場合と50Dの糸を2本合わせて100Dの糸をつくる場合があります
「最初から100Dの糸をつくったほうが手っ取り早くて良いのでは?」
「なんでわざわざ2本合わせて糸のつくるの?」
このように感じた人は多いのではないでしょうか
実は2本合わせてつくることで得られるメリットがあり、状況によっては2本合わせて目的の糸をつくる方が適している場合が多々あるのです
今回はそんな双糸について解説していこうと思います
この記事を読むことで双糸とは、単糸との違い、双糸の特徴、双糸の番手表示についてお分かりいただけ、双糸についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
双糸とは?
双糸とは2本の糸を合わせて1本の糸として使われる糸のことです
単独で1本の糸を「単糸」と呼び、双糸は単糸を2本合わせて1本の糸にしたものです
フィラメント糸であってもスパン糸であっても1本の単独の糸は全て単糸となります
フィラメント糸とスパン糸に関してはそれぞれ解説した記事がありますので、そちらも合わせてご覧ください
双糸は単糸2本をひき揃える、撚り合わせる等によってつくられます
ひき揃えられるのはフィラメント糸のみで、基本的に双糸は撚り合わせるつくられる場合が多いです
撚り合わせる際には単糸と逆方向の撚りで合わせられます
単糸がZ撚りの場合には撚り合わせはS撚りとなります
この時、単糸の撚りを「下撚り」、撚り合わせの撚りを「上撚り」といいます
撚り方向に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
ちなみに撚り合わせる単糸の種類を変えることで特殊な糸をつくることも可能です
例えば白糸と黒糸を撚り合わせることで2色が混ざった「杢糸」をつくることができます
またポリエステル糸と綿糸を撚り合わせることで異繊維を合わせた「交撚糸」をつくることもできます
この場合ば双糸とは少し意味が異なってしまうかもしれませんが、撚り合わせることでできることとして覚えていただけたらと思います
双糸の特徴は?
同じ100Dの糸をつくる際に100D単糸をつくる場合と50D双糸で100Dの糸をつくる場合があります
一見100D単糸でつくった方が余計な手間が少なく良いと思われるでしょうが、実は双糸にすることで生まれるメリットもあるのです
ここでは双糸の特徴やメリットについて解説していきます
【太い糸を作ることが可能】
双糸は2本の単糸を合わせてつくられる糸ですので、太い糸をつくることが可能となります
むしろどうしても太い糸になりやすいという方が正しいかもしれません
そして逆にいうと細い糸をつくりにくいということにもなります
そのため必要な糸の太さしだいでは双糸でつくることが難しい場合もありますので、その点に注意が必要です
【強度が増す】
双糸にすることで同じ番手の単糸よりも強度が増す傾向があります
例えば100Dの単糸と50Dの双糸を比べた際には50D双糸の方が引張強度が高い傾向があります
また50D単糸と50D双糸を比べた際も50D双糸が2倍の強度という訳ではなく、2.5~3倍程度の強さになる傾向があります
そのため強度が求められる場合には双糸にするということも有効な手段となる場合があります
【バラつきが減る】
特にスパン糸の場合では双糸にすることで糸のバラつきを抑えることができます
スパン糸はその特性上どうしてもムラが発生しやすく、部分的な太さのバラつきなどが起きやすい傾向にあります
しかし双糸にすることでお互いのバラつきをカバーし合い、結果として比較的安定した糸になりやすい傾向にあります
糸が安定することで品位の揃った製品をつくりやすくなるため、生産性が向上し不良率が下がることが期待できます
【番手違いの展開をしやすい】
双糸にすることによって番手違いの糸を展開しやすくなるメリットがあります
番手違いの展開というのは、例えば同じ糸でも50Dの糸と100Dの糸をラインナップすることです
原糸の生産ロットは通常で数t程度、少なくとも数100kgくらいは必要となる場合が多いです
仮に50Dの糸と100Dの糸を単糸でラインナップするとなるとそれぞれにこの生産ロットが必要となり、大量の糸ができてしまいます
そこで50D単糸と50D双糸で50Dと100Dの糸をつくるとなると原糸は50Dのみとなり比較的少ない量で糸をつくることが可能です
このようにして双糸も併用することでリスクを抑えながら商品ラインナップを増やすことが可能となります
双糸はどのような番手表示なの?
双糸の番手表示は少し間違えやすい部分があるので解説します
【フィラメント糸】
(例)100デニール48フィラメントの糸の場合
単糸:100D-48
双糸:50D/2-24
双糸の場合はどんな単糸を2本撚り合わせたかという表示方法となります
例では50デニール24フィラメントの糸を2本撚り合わせて100デニール48フィラメントの糸をつくっているため上記のような表示となります
50Dと表示されていますが、「/2」があることで実際にはそれを2本撚り合わせた100Dの糸のこととなりますのでご注意いただければと思います
【スパン糸】
(例)20番手の糸の場合
単糸:20/1s 20s
双糸:40/2s
スパン糸でも同じく2本撚り合わせた場合には「/2」と記載し双糸であることを表示します
スパン糸は恒重式番手表示であるため、数字が小さいほど太い糸となります
そのため40番手の双糸は20番手相当の糸となります
どちらとも「/2」の記載がある場合は双糸となりますので、正しく理解して間違えないようにしましょう
ちなみに番手については下の記事で解説していますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください
まとめ
今回は双糸について解説してきました
双糸とは2本の糸を合わせて1本の糸として使われる糸のことです
単独で1本の糸を「単糸」と呼び、双糸は単糸を2本合わせて1本の糸にしたものです
双糸は単糸2本をひき揃える、撚り合わせる等によってつくられます
ひき揃えられるのはフィラメント糸のみで、基本的に双糸は撚り合わせるつくられる場合が多いです
双糸には太い糸をつくることが可能、強度が増す、バラつきが減る、番手違いの展開がしやすいなどの特徴やメリットがあります
同じ100デニール48フィラメントの糸であっても、単糸では100D-48であるが、双糸では50D/2-24となる
双糸の場合は「/2」の記載が入るため、間違えないよう注意が必要
この記事をご覧いただき、なぜわざわざ双糸にするのかご理解いただけたのではないでしょうか
1+1=2にはならずに、1+1=3になる場合があるのが繊維のおもしろいところだと私は思っています
また今回あまり紹介できませんでしたが、杢糸や交撚糸のように異なる糸を組み合わせることで、見た目をおもしろくしたり機能性を付与したりでき、そこには無限の可能性があると思います
組み合わせしだいではまだまだ新しいもの、おもしろいものをつくることができると思っていますので、ぜひ今後も一緒に繊維の勉強をしていきましょう
ではまた!
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