どもどもTにぃです
みなさん「梳毛糸(そもうし)」という糸をご存知でしょうか?
梳毛糸とは毛繊維の紡績方法の一種である梳毛紡績によってつくられる糸のことです
「そもそも紡績って何?」という人は下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
毛繊維をよく梳(す)き、短い繊維を除去して、比較的長い繊維のみを用いた製品の総称を「梳毛」「ウーステッド」といいます
つまりこの手法で短繊維糸をつくることを梳毛紡績といい、そしてそこからつくられる糸が梳毛糸です
梳毛糸は見た目の美しさや取り扱いのしやすさ等、特徴の多い糸であり、その特徴を活かして主に衣類用途として使用されています
今回はそんな梳毛糸について解説していこうと思います
この記事を読むことで、梳毛糸とは、そのつくられ方、特徴、用途についてお分かりいただけ、梳毛糸についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
梳毛糸とは?
梳毛糸とは羊毛や獣毛等の毛繊維における紡績方法の1種である梳毛紡績でつくられる糸のことです
羊毛、獣毛に関してはそれぞれ解説した記事がありますので、ぜひ合わせてご覧ください
そもそも毛繊維の紡績方法は大きく2種類に分けることができ、それが「梳毛紡績」と「紡毛紡績」です
同じ繊維を用いたとしてもそれぞれの紡績によってつくられる糸は異なり、用途に応じて使い分けられます
梳毛糸は紡績工程で繊維を櫛(くし)に通し平行度を高めた上で撚りをかけて糸にしたものです
そのため繊維が一方向にしっかりと整えられており均一度が高いことが特徴の糸です
また使用される繊維も比較的長くて均一な状態のもののみ使用されます
長さが短いものや不均一なものは紡績工程の途中で排除されます
このようにして梳毛糸は均一度の高い糸となりますが、均一度を高めるためにはその分多くの工程必要となります
そのため梳毛糸は紡毛紡績でつくられる糸よりも高価となる傾向があります
紡毛糸に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
梳毛糸はどうやってつくられるの?
梳毛糸は「選別」「洗浄」「カーディング」「コーミング」「前紡」「精紡」の工程を経てつくられます
それぞれの工程を解説していきます
【選別(選毛)工程】
刈り取ったシート状の毛繊維のうち、梳毛に適した繊維長の長い原料を選別、仕分けして使用
【洗浄工程】
洗剤を用いて原料を洗い上げる
ここまではバラ繊維状
【カーディング工程】
絡み合っている繊維を開き短い繊維や不純物を取り除きつつ、繊維の方向をある程度一方向に揃えてスライバー(太い紐状)にする
この状態のスライバーはまだ不均一で繊維の平行度もそこまで高くない状態
【コーミング工程】
スライバーを数本合わせてドラフトし(引き伸ばす)、再度目の細かい櫛を通す
これらを数回繰り返すことでスライバーの均一度や繊維の平行度をより高めた上で、同時に細かい不純物も除去する
コーミング工程を経たスライバーはコマのような状態で巻き上げられ、これをトップと呼ぶ
トップの状態で中間製品として売買されたり、染色されたりする場合もある
【前紡工程】
トップの状態ではまだ太さがあるため、さらに引き伸ばすことて粗糸の状態にする
【精紡工程】
粗糸を最終的な太さまで引き伸ばし、撚りをかけることで梳毛糸とする
梳毛糸にはどんな特徴があるの?
梳毛糸の最大の特徴はその均一度の高さだといえます
上記の通り多くの工程を経ることで短繊維糸でありながらも均一度の高い糸をつくることが可能で、とても扱いやすい糸となります
また均一度が高くムラがかなり少ないため引き締まった糸状態となり細い糸をつくる場合に適しており、また強度も比較的高いとされています
加えて、繊維が一方向にしっかりと整えられているため毛羽が少なく糸の表面は平滑であり、光沢感が得られやすいことも特徴として挙げられます
梳毛糸は何に使われるの?
梳毛糸の用途としては基本的には幅広い織物や編物に使用されます
これは取り扱いしやすく汎用性が高いためです
その中でも梳毛糸が適している具体例としては高級スーツや春夏向けアイテム等が挙げられます
梳毛糸の平滑で光沢感のある美しい見た目は高級スーツに非常に適しています
また梳毛糸はどうしても高価になってしまう傾向があるため、用途もある程度高価なものでないと使用できません
毛繊維を使用したアイテムは秋冬物のイメージが強いと思いますが、実は春夏物のアイテムも存在します
梳毛糸は毛羽が少なく空気を多く含まないため適度な保温性があり、加えて毛繊維は吸放湿性に優れるため蒸れにくい特徴があります
これらを活かす用途として春夏物のカーディガンやニット等が適しているといえるでしょう
まとめ
今回は梳毛糸について解説してきました
梳毛糸とは毛繊維における紡績方法の1種である梳毛紡績でつくられる糸のことです
梳毛糸は紡績工程で繊維を櫛(くし)に通し平行度を高めた上で撚りをかけて糸にしたものであり、繊維が一方向にしっかりと整えられており均一度が高い糸です
梳毛糸は均一度が高く、平滑で光沢感があり、丈夫で細番手に適しています
一方で、紡績工程が「選別→洗浄→カーディング→コーミング、前紡→精紡」と非常に多く手間暇がかかり高価となってしまう傾向があります
梳毛糸はその特徴から高級スーツや春夏向けのアイテムに使用されています
同じ毛繊維を使用していても紡績の方法によって全く異なる糸がつくられることを初めて知った人もいらっしゃるのではないでしょうか
梳毛糸は手間暇かけて整えられてつくられており、実際にご覧になるとその見た目の美しさがきっと感じられると思います
また紡毛糸と比較してみると、その差がより理解できると思います
高級スーツや毛繊維を使用した春夏衣料を見かけた際にはぜひ一度確認していただければと思います
ではまた!
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