どもどもTにぃです
「スリット糸」という糸をご存知でしょうか?
スリット糸とはフィルムを細く切って糸として使用したものです
組成表示部分に「スリット糸使用」と記載してある製品を見たことがある人もいるのではないでしょうか
スリット糸はそこまで多くのアイテムに使用されている糸ではありませんが、ラメ感のある糸によく使用されています
有名なところでは京都・西陣織の絢爛豪華な帯などに使用されていますね
スリット糸は通常の糸とは違いフィルムからつくられるが故の特徴が多くあります
そこにはメリットもあれば、当然デメリットもあり、取り扱いに気を付けなければいけない点もいくつかあります
今回はそんなスリット糸について解説していこうと思います
この記事を読むことで、スリット糸とは、その種類、特徴、注意点についてお分かりいただけ、スリット糸に対しての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
スリット糸ってなに?
スリット糸とはフィルムを細く裁断し糸にしたもののことです
スリットとは広い幅の生地やフィルムを細く切ることをいいます
スリット糸はもともと数㎝から数mくらい幅のあるフィルムを数ミリや1ミリ以下の細い幅に切ってつくられます
この細く切るスリットをすることでつくられる糸であるためスリット糸と呼ばれます
スリット糸はラメ糸や和紙糸などでよく見かけます
ラメ糸とはフィルムに着色をした上でアルミを蒸着させて、その後スリットしてつくられるラメ感のある糸のことです
ラメ糸も和紙糸ももともとは幅の広いシート状のものを細く切ることでつくられるためスリット糸となります
通常の糸はデニールやデシテックス、番手などでその太さが表示されますが、スリット糸では「〇〇切」という表示方法もあります
「切」とは1寸(約30.3㎜)を何等分したかというものであり、「10切」であれば30.3㎜の10等分であり3.03㎜の太さとなります
一般的には10切のものから細いものでは300切(0.1㎜)程度のスリット糸まであります
デシテックスや番手に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
またラメ糸(スリット糸)のつくり方に関しては、下の動画をご覧いただくとイメージしやすいと思いますので、ぜひご覧ください
スリット糸にはどんな種類があるの?
広義でのスリット糸には大きく分けて2つの種類があります
1つはフィルム単体の糸であり、もう1つがフィルムを芯糸に巻いた糸です
フィルム単体の糸はフィルムをスリットしただけですので薄い扁平状の糸となります
狭義ではこちらの糸のみをスリット糸という場合があります
別名としてフラットヤーン、フィルムヤーン、テープヤーンと呼ばれる場合もあります
上の図のようにフィルムを芯糸に巻いたものもスリット糸に含まれる場合があります
組成表示にて「スリット糸使用」と記載がある場合はこちらの糸も含みます
フィラメント糸もしくはスパン糸を芯糸に用いて、その周りをスリットしたもので巻き付けるような構造です
柔らかさや着用感の良さが求められる場合にこちらが使用されることが多いです
広義ではスリット糸にも2種類あるということを覚えておいてください
スリット糸にはどんな特徴があるの?
スリット糸には通常の糸には無い特徴が数多くあります
今回はその代表例をピックアップして解説します
【高強度、高耐久】
スリット糸は比較的強度が高く耐久性もある特徴があります
スリット糸はフィルム単体であったり、芯糸に巻き付けてあったりするため特にマルチフィラメント糸に比べれば物性が高い傾向があります
もちろんフィルムを分厚くしたり、芯糸への巻き付け方を変更することで更なる強度アップを図ることも可能です
【種類が豊富】
スリット糸は種類が豊富という特徴もあります
「フィルムはそんなに種類が多くないのでは?」と思われる人もいるかもしれませんが、実はフィルムにもいろいろ種類があります
ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど多くのフィルムが存在します
また和紙や箔などからもスリット糸をつくることができるので、用途に応じて様々な種類のスリット糸から選ぶことが可能となります
【ラメ糸は絢爛豪華】
西陣織の帯というと煌びやかで絢爛豪華なイメージがあると思います
このイメージを作り出しているのがラメ糸であるといっても過言ではありません
フィルムをスリットしているため非常に光沢度が高く、あのキラキラ輝く感じは通常の糸ではなかなか再現できません
ちなみに西陣織の産地であるためか、京都にはラメ糸の産地でもあり、ラメ糸メーカーが多く存在しています
【金銀糸にもできる】
こちらも西陣織などで使用される金糸や銀糸
これらは実は金や銀が使用されているわけではないことをご存知でしょうか
クリアイエローに着色したフィルムにアルミを蒸着させてメタリック感をプラスすることで、なんと金色に見えるのです
実は金や銀を使用せずともスリット糸では金色や銀色に見せることができるのです
これはクリアなフィルムとアルミ蒸着を合わせることができるスリット糸ならではの方法だと思います
繊維からつくる糸にはできないことでもスリット糸ではできるということですね
スリット糸にはどんな注意点があるの?
スリット糸はその特性上、取り扱う上で注意すべき点がいくつかあります
スリット糸の注意点をピックアップして解説していきます
【直接肌に触れるアイテムには注意】
スリット糸はフィルムを使用しているため、繊維の糸よりも硬くなってしまう傾向があります
フィルム部分は直接肌に触れるとチクチクする感じがあり、場合によっては皮膚を刺激してしまう可能性があります
スリット糸には比較的柔らかいものもありますが、製品によっては注意しなければいけないと思われます
【洗剤、汗などで光沢が消失】
ラメ糸に使用されるアルミニウムは酸にもアルカリにも弱い性質があります
また汗によって酸化してしまう可能性もあります
これらの影響によって光沢が消失してしまい、せっかくのラメ糸が台無しになってしまう場合があります
中性洗剤使用や汗によって変色する旨を消費者にしっかり理解してもらう必要があると思われます
【捻じれる】
フィルム単体のスリット糸は扁平ですので捻じれてしまう可能性があります
これは通常の繊維の糸ではあまり起こらないため、スリット糸特有の注意点だといえます
捻じれが発生することで捻じれが目立ったり、その部分だけ見え方が変わってしまうことがあります
扁平糸である以上捻じれは捻じれてしまうのはどうしようもないのですが、その点も理解した上で使用する必要があります
まとめ
今回はスリット糸について解説してきました
スリット糸とはフィルムを細く裁断し糸にしたもののことです
スリット糸にはフィルム単体の糸とフィルムを芯糸に巻いた糸の2種類があります
スリット糸には高強度、高耐久、種類が豊富、ラメ糸は絢爛豪華などの特徴があります
またスリット糸はその特性上、直接肌に触れるアイテム、洗剤や汗などで光沢が消失、捻じれるなどの注意点があります
スリット糸といえばラメ糸が多いと思いますが、ラメ糸は豪華さやゴージャス感を出すには適した糸だと思います
ただしスリット糸ならではの理由で注意すべき点があるということも同時に覚えておく必要があります
製品をつくる側も使う側もスリット糸に対しての正しい知識を持つことが大切だと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います
ではまた!
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