どもどもTにぃです
「紋織物」という織物をご存知でしょうか?
「そもそも織物ってなに?」という人は下の記事で解説していますので、まずはそちらをご覧ください
紋織物とは織物を構成しているたて糸とよこ糸で模様を表現する織物のことです
つまり織り上げる段階で模様のある織物がつくられるということです
紋織物はそのつくり方故に一般的に多く使われる無地の織物とは異なる特徴を持つ織物です
また紋織物の中には多くの種類があり、日本人であれば多くの人が知っているあの有名織物もその1つとなります
今回はそんな紋織物について解説していこうと思います
この記事を読むことで紋織物とは、その特徴、種類、用途についてお分かりいただけ、紋織物についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
紋織物とは?
紋織物とはたて糸とよこ糸を複雑に組み合わせることで模様を表す織物のことです
1枚の織物の中で平織、斜文織、朱子織などの様々な織り方を組み合わせることによって模様を表します
布地に模様を表す方法として一般的には捺染(プリント)を思い浮かべる人が多いと思います
捺染は無地の布地に対してインクを塗布することで模様を付与する方法です
一方、紋織物は捺染とは異なり、織物を構成する糸を使用して模様を表現しており、織り上がる段階で模様があることが特徴です
捺染に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
模様を表しながら織り上げるには非常に複雑な織り方をする必要があります
通常の織機ではこの複雑な織り方はできないため、紋織物は「ジャカード織機」と呼ばれる特殊な織機を用いて織られる場合が多いです
複雑な織り方を可能とする司令塔の役割を果たす部分をジャカードと呼び、この司令塔を搭載した織機のことをジャカード織機といいます
一言で紋織物といっていますが、実は紋織物には様々な種類が存在します
一般消費者が日常で使う製品に対して紋織物が使用されている場合があります
これには大量生産された工業製品としての紋織物が使われます
一方で西陣織を代表とする伝統工芸品としての紋織物も存在します
これらは高価格帯の製品になればなるほど職人の手作業によって手間暇をかけてつくりだされる製品となる傾向があります
つまり紋織物には工業製品から伝統工芸品まで幅広い種類があるということです
紋織物にはどんな特徴があるの?
紋織物にはその製法故に様々な特徴があります
【種類が豊富】
紋織物は様々な織り方で模様を表します
また使用する糸にも多くの種類があり、色糸を使用したり光沢のある糸を使用したり金糸を使用することも可能です
この「織り方」と「糸」の組み合わせによって数え切れない種類の紋織物をつくることができます
紋織物は先染め織物となる場合が多く、この種類の豊富さが大きな特徴といえるでしょう
先染めに関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
【立体的な表現が可能】
紋織物は捺染と比較して立体的な表現が可能となっています
紋織物は糸で模様を表現しているため、糸の上がり下がりが必要となり、その結果凹凸が生まれやすくなります
また意図的にたて糸とよこ糸の絡みを少なくし糸を大きく飛ばすことで、更に凹凸感を増すことも可能です
比較的平面的な表現となる捺染とは対照的であるといえるでしょう
【厚地となる傾向】
紋織物は比較的厚地となる傾向があります
これは紋織物は多くの糸を使用する傾向があり、多くの糸を使用すればするほど生地が分厚くなってしまうためです
例えば2色で模様を表現する場合には2種類の糸が必要となり、5色で模様を表現する場合には5色の糸が必要となる場合があります
このようにして使用する糸が増えれば増えるほど厚みが増していく傾向があります
この厚みが重厚感となり高級感につながると織物としての付加価値が高まることとなります
【高価、大ロットとなる傾向】
紋織物は比較的高価となる傾向があります
伝統工芸品となれば高価となることは理解しやすいと思いますが、工業製品としても比較的高価となりがちです
これはジャカード織機という特殊な装置で生産することや、ジャカードを動かすための紋紙やデータをつくる必要があること、また糸の使用量が増えたり金糸やラメ糸などの高価な糸を使用することで原材料費が高くなってしまうことが理由として挙げられます
また原材料自体にも最低生産ロットがある場合もありますし、紋織物が市場で受け入れられる価格にするためにもある程度の生産ロットが必要となる傾向があります
紋織物にはどんな種類があるの?
紋織物には様々な種類があります
その代表例として「ジャカード」「金襴」「ダマスク」の3つを挙げて解説します
【ジャカード】
ジャカード織機にて織られた紋織物の総称
「紋織り」「ジャカードクロス」とも呼ばれる
幾何学模様から複雑で豪華な写実柄まで幅広く織り出すことが可能
【金襴】
「金糸」やスリット糸の一種である「平金糸」などで模様を織り出した絢爛豪華な紋織物
銀のものは「銀襴」という
生地組織には朱子織の緞子(どんす)や斜文織の錦(にしき)が多く使われる
西陣織で多く見られる
スリット糸に関しては下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
【ダマスク】
朱子織を応用して模様を表現した意匠性に富む紋織物
模様には草花や幾何学模様の大柄のものが多い
シリアの首都ダマスカス(ペルシャ語でダマスク)が由来とされる
紋織物にはどんな用途があるの?
紋織物の用途としては「衣類」「服飾雑貨」「インテリア」などが挙げられます
【衣類】
紋織物は和服、洋服どちらにも用いられます
和服であは着物や帯として使用されることが多いです
また袈裟や法衣、能装束などの伝統芸能の衣装にも多く使われています
洋服ではワンピース、シャツ、ジャケットなどに使用されます
【服飾雑貨】
服飾雑貨としては鞄、ネクタイ、財布、帽子などのアイテムに紋織物は使用されます
紋織物は複雑な織り方をしているが故に強度は高くなくそれほど耐久性は高くありません
そのため突起に引っ掛けたり繰り返し擦られたりすると糸が切れてしまったり摩耗してしまう可能性があるため、特に小物アイテムは取り扱いに注意が必要です
【インテリア】
インテリアとしてはカーテンや椅子張り、テーブルクロスなどのアイテムに紋織物は使用されます
また壁面装飾としての壁紙やインテリアとは異なりますが舞台の緞帳などにも使用されています
まとめ
今回は紋織物について解説してきました
紋織物とはたて糸とよこ糸を複雑に組み合わせることで模様を表す織物のことです
1枚の織物の中で平織、斜文織、朱子織などの様々な織り方を組み合わせることによって模様を表します
複雑な織り方をするために「ジャカード」と呼ばれる装置を搭載した織機を使用します
紋織物には「種類が豊富」「立体的な表現が可能」「厚地となる傾向」「高価、大ロットの傾向」などの特徴があります
紋織物ならではの見た目や質感がありながらも高価な傾向があるという認識の人は多いと思います
紋織物の種類としては「ジャカード」「金襴」「ダマスク」などが挙げられます
紋織物は和服や洋服などの「衣類」、鞄やネクタイなどの「服飾雑貨」、カーテンやテーブルクロスなどの「インテリア」などの製品に使用されます
紋織物はパッと見では分かりづらいかもしれませんが、近くでよく見てみると凹凸があったりカラフルな糸を使用してることが分かると思います
紋織物には捺染では表すことができない立体感や金糸銀糸の綺羅びやかさがあり、重厚感や高級感を感じられる織物となっています
身近なアイテムだけでなく建物の内装材などでも使用されている織物ですので、ぜひ一度探してみてください
きっとその美しさを感じることができると思いますよ
ではまた!
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