どもどもTにぃです
「中空糸」という糸があることをご存じでしょうか?
中空糸とは中が空洞で筒状になっている繊維からなる糸のことです
「何で中が空洞になっているの?」
「空洞になることでメリットがあるの?」
このような疑問を感じる人は多いと思います
一般的に繊維は円柱状で中が詰まっているものが多いです
しかし筒状に中が空洞になっていることで得られる効果があり、その効果は特定の製品にとって大きなメリットとなる場合があります
今回はそんな中空糸について解説していこうと思います
この記事を読むことで中空糸とは、中空糸を使用することで得られる効果と中空糸の用途についてお分かりいただけ、中空糸についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
中空糸とは?
中空糸とは繊維の長さ方向に連続した空洞をもつ「中空繊維」からなる糸のことです
一般的に繊維は円柱状で繊維中に空洞は無く、中が詰まっているものが多いです
しかし特殊な作り方をすることで空洞を持たせることができ、繊維を筒状にすることができます
これが中空繊維であり、人に手によって意図的にこのような形状で作られるため、中空繊維は基本的に化学繊維のみです
化学繊維については下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
※天然繊維の綿に関しては繊維中にルーメンと呼ばれる中空部を持ちますが、綿を中空繊維に分類することはあまりありません
中空繊維は筒状と説明していますが、実はそれ以外の形状の中空繊維も存在します
円形以外にも上の画像のように漢字の「田」形のものもあったり、他にも「井」形のものあります
どのような形状であれ、意図的につくられた中空部分を持つ繊維であれば中空繊維に分類されるということですね
中空繊維の製造方法
中空繊維の代表的なつくり方としては紡糸段階で最初から筒状でつくる方法と紡糸後に加工を施して後から筒状にする方法の2パターンがあります
紡糸に関しては下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
通常、化学繊維であればシャワーヘッドのような口金から繊維の原料を押し出すことで円柱状の繊維がつくられます
この口金の繊維が押し出されて出てくる穴の部分をドーナツ状にすることで、繊維が最初から筒状になって出てきます
これが紡糸段階で最初から筒状にしてつくる方法です
紡糸後に加工を施す方法は少し特殊なつくり方をします
まず下の画像のように芯ポリマーに水溶性ポリマーを用いた芯鞘形状の複合繊維として紡糸します
その後、芯成分を熱水で溶かし除去することで筒状の中空繊維にすることができます
複合繊維に関しては下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
これらのように中空繊維をつくるには特殊なつくり方をしなければいけません
よってノウハウや技術が必要となりますので、中空繊維をつくることができる会社はある程度限られています
中空糸の特徴
中空糸には以下のような特徴があります
【軽量】
中空繊維は中が空洞になっているため、その分通常の繊維よりも軽量になります
軽量さが求められるアイテムに適しています
【柔軟】
中空繊維は中が空洞になっていることで剛直さが減り柔軟性が上がり柔らかい糸になる傾向があります
柔らかく弾力性があるためシワにもなりにくくなります
【断熱保温効果】
中空部分は空気となるため断熱保温効果も期待できます
空気は熱伝導率が低いため、空気の層を持つことで暖かさが持続します
水筒などの魔法瓶と同じ原理ですね
【透け防止】
中空糸を使用することで透け防止効果が期待できます
中空繊維は繊維の部分と空気の部分が存在することになり、光が複雑に屈折したり乱反射することで光の透過率が低くなるためです
【吸水速乾】
中空部分は空洞であるため、そこには水分をため込むこともでき、その結果吸水性が向上します
細かい中空部を通して毛細管現象が起こるため速乾性も向上します
中空糸の用途
中空糸はその特徴を活かしてあらゆる製品に使用されています
軽量と吸水速乾が必要となるスポーツ衣料には中空糸が適しています
また保温性という点では冬物衣料には中空糸が最適でしょう
保温性だけでなく柔軟性、弾力性を活かして詰め綿にも利用されます
衣類以外にも付着した汚れを光の乱反射によって見えにくくする効果もあるためカーペットなどにも使用されることがあります
医療や水処理などの分野では微細な孔を持つ中空糸が中空糸膜として活躍しており幅広い利用が進んでいます
まとめ
今回は中空糸に関して解説してきました
中空糸とは繊維の長さ方向に連続した空洞をもつ「中空繊維」からなる糸のことです
中空繊維の代表的なつくり方としては紡糸段階で最初から筒状でつくる方法と紡糸後に加工を施して後から筒状にする方法の2パターンがあります
中空糸の特徴としては軽量、柔軟、保温、透け防止、吸水速乾などの効果が期待でき、機能性に優れた素材といえます
用途としてはスポーツ衣料、冬物衣料、詰め綿、カーペット、中空糸膜と衣類だけでなくインテリア、医療、産業資材など幅広い分野で利用されています
繊維の形状を変えるだけで様々な効果が期待できる繊維をつくることができるのは非常におもしろいですよね
繊維の種類×形状の組み合わせで選択肢はかなり多くなるでしょうし、そこから得られる特徴を活かす用途となると無限大にありそうな気がしますね
本当に繊維の世界はおもしろいことばかりですね
今後も一緒に繊維の勉強をしてきましょうね
ではまた!
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