どもどもTにぃです
みなさん「混紡」という言葉をご存知でしょうか?
混紡とはその字の如く「複数のものを混ぜて糸を紡ぐ」ことです
混紡をすることによって得られるメリットはいくつもあり、私達が衣類を快適に着用できているのも混紡のおかげという部分もあったりします
また混紡と似たような言葉で「混繊」という言葉もありますが、実はこれらは異なるものです
今回はそんな混紡について解説していこうと思います
この記事を読むことで、混紡とは、その効果と種類、混繊との違いについてお分かりいただけ、混紡についての理解が深まると思います
ぜひ最後までご覧ください
混紡とは?
混紡とは種類の異なる短繊維同士を混ぜ合わせて紡績することです
紡績に関してはしたの記事で解説していますので、合わせてご覧ください
そして混紡によってつくられた糸のことを混紡糸と言います
混紡の代表例としてはTシャツなどでよく使用される綿とポリエステルの混紡が挙げられます
綿繊維の特徴としては吸水性が良いことが挙げられます
一方ポリエステル繊維の特徴としては速乾性があることが挙げられます
それぞれの特徴から綿とポリエステルの混紡によって吸水性が良く速乾性があるという特徴を持った糸や製品をつくることができます
このようにしてそれぞれの特徴を掛け合わせることで、より機能的な繊維製品をつくることが混紡の狙いです
単繊維では無い性能も他の繊維を合わせることで得られるようになるということですね
混紡の効果
混紡をすることによって「繊維同士の欠点を補完」「繊維同士の長所を活かす」「機能性向上」などの効果が得られるようになります
【繊維同士の欠点を補完】
綿繊維は吸水性に優れる一方で乾くまでに時間がかかる欠点がある
ポリエステル繊維は速乾性がある一方で吸水性が無いという欠点がある
この2つを混紡することでお互いの欠点を補完し合い、吸水性が良く速乾性のある糸をつくることができます
【繊維同士の長所を活かす】
ポリエステルには強度がある、シワになりにくい、熱セット性があるという長所がある
羊毛には吸放湿性がある、風合いが良い、伸縮性があるという長所がある
これらを混紡することでそれぞれの長所を有した糸をつくることが可能になります
【機能性向上】
アクリルは比較的保温性のある繊維ですが、そこに羊毛を混ぜることでより保温性が高まります
また羊毛の吸放湿性が快適な着用感にもつながります
【コストダウン】
カシミヤは非常に高価な繊維で有名です
そこに同じ毛繊維ではありますが羊毛を混ぜることで、コストダウンを図ることができます
どちらも獣毛繊維であり保温性や吸放湿性はあるため、大きく性能を落とすことには繋がりません
混紡によく使用される繊維としては綿、絹、羊毛、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどが挙げられます
今回挙げた例はあくまでほんの一部で、実際には多くの組み合わせがあります
混紡の種類
混紡の方法には「スライバー混紡」「原綿混紡」などの種類があります
スライバー混紡
スライバーとは紡績工程の中間品の1つで、繊維をほぐし並行に揃えながら引き伸ばされてつくられるヒモ状のものです
このスライバーの状態で混ぜることをスライバー混紡を言います
主に合成繊維と綿や羊毛との混紡に用いられる場合が多いです
原綿混紡
短繊維のわたの状態で混ぜることを原綿混紡と言います
紡毛糸における強力向上のためのナイロン繊維の混紡などに用いられます
混紡と混繊の違い
混紡と似た言葉で「混繊」というものもあります
非常に似ていてややこしいのですが、実はこれらは異なるものなのです
混繊とは性質が異なる複数の長繊維を混合することです
混紡との大きな違いは短繊維か長繊維かという部分です
短繊維と長繊維の違いは下の記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください
混繊には複合紡糸ノズルから一度に異なる性質の長繊維を紡糸する方法と、いったん長繊維糸にしたものを開繊(繊維の状態にばらす)してから混合する方法があります
素材の組み合わせは異なる繊維同士(異繊維混繊糸)もありますが、同種の繊維でも収縮率の異なるもの同士(異収縮混繊糸)、太さのことなるもの同士(異繊度混繊糸)という場合もあります
染め分けや膨らみの付与、風合いの変化など混繊は多様な効果を発現できるとされています
混繊は組み合わせの自由度が高い印象ですね
まとめ
今回は混紡について解説してきました
混紡とは種類の異なる短繊維同士を混ぜ合わせて紡績することです
混紡をすることで「繊維同士の欠点の補完」「繊維同士の長所を活かす」「機能性向上」「コストダウン」などの効果が期待できます
混紡は紡績工程のどのタイミングで繊維同士を混ぜ合わせるかによって混紡方法が異なり「スライバー混紡」「原綿混紡」などがあります
混繊とは異なる性質の長繊維同士を複合させることで、混紡との大きな違いは長繊維同士であるという点です
単繊維では得られない部分も複合させることで得られるようになり、結果として付加価値の高い製品をつくることが可能になります
着用感だけでなくお手入れ部分での機能性が上がることで、トータルの実用性が上がるため非常に使いやすい製品になりますよね
混紡の組み合わせには多くの種類があります
繊維同士の組み合わせだけでなく、混合の割合も考えると数え切れないくらいの数だと思います
単繊維ではできないことも、複数組み合わせることで可能になり、その組み合わせは非常に多いことを考えると、やはり繊維の世界は非常に面白いものだなと思います
繊維の可能性は無限大ですね
これからも一緒に勉強していきましょう
ではまた!
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